元公務員が教える 税務署や市区町村は確定申告の中身をそこまで見ていません!
2020年(令和2年)の確定申告期間は2月17日(月)~3月16日(月)です。
確定申告はご自身で作成される方と税理士に作成を依頼している場合があると思いますが、実は提出された確定申告の中身って税務署や市区町村などの役所は完璧には中身を見れていません。人的な問題で全てを見ることができないのです、
かなりの売り上げや利益が上がっている場合は別ですが、それ以外の一般的なレベル(会社員や売り上げの低い個人事業主)のものは、隅々までチェックしていません。
元公務員として某市役所で税務担当をしていた経験をもとに、確定申告でチェックしている対象者とチェックしている箇所について税務署と市区町村の違いを含めて詳しく解説します。
目 次
1.確定申告の実態
確定申告は短期間(約1ヶ月)で膨大な数の申告書が税務署や市区町村の税務課に提出されます。
そんな膨大な数の確定申告書の内容を事細かに隅々までチェックすることは物理的に不可能です。短期間にこれでもかというほど膨大な申告書が提出されてきますので、税務署や市区町村などの役所の税務担当は大事なところ以外ほとんど中身をチェックできていません。これが現実です。
1.1 税務署と市区町村の税務課の役割
確定申告は国税庁、つまり税務署の管轄です。
確定申告を作成する免許を持っているのは税務署か税理士のみです。
ではなぜ市区町村の役所でも確定申告を受け付けているのか?
確定申告の期間のみ市区町村に確定申告書の作成の許可を与えて、市区町村と税務署が連携して業務を行ってるのです。
確定申告は後に住民税を算出する根拠資料になるので、市区町村も確定申告の手伝いをやらないわけにはいけないのです。
1.2 確定申告のどの欄を見ているのか?
税務署が重点的に見ている点は、売り上げと利益、経費の部分です。
売り上げが急激に伸びている場合や経費が異常に多い場合などは中身を詳しく見られる可能性があります。
上記のような一定の要件を満たす申告者の確定申告のチェックは税務署の方が市区町村よりかなりシビアです。
市区町村の税務担当が重点的に確認する点は、控除欄です。
扶養控除や生命保険控除等の欄に誤りがないかどうかを確認しています。
例えば夫婦で扶養控除や生命保険控除等を二重に控除適用していないかどうかをチェックします。二重に控除されていると、当然課税額が低くなってしまい、結果的に住民税が安くなってしまうので自治体としては損することになります。
自治体の職員はそれを防ぐために確定申告のチェックをしますが、チェック項目はごくわずかです。売り上げや経費よりは、控除額を重点的に見ています。
1.3 内容をチェックされるタイミング
確定申告の中身は全て見れていないというお話をさせて頂きましたが、部分的に見ている箇所があるのも事実です。
それではどのタイミングて確定申告書の中身を見ているのか?
市区町村は申告書が出された時に一定確認します。
税務署は申告期限後(3月15日以降)にじっくりと対象を絞り込み、怪しい申告者を入念にチェックします。
また市区町村は、申告期限後の住民税課税時期である4月~6月ごろにかけて入念に控除欄等をチェックします。 控除をご夫婦で2重にとっている事が判明した場合は、連絡して修正申告を促します。
窓口に行くのが嫌な人は、郵送で確定申告書を提出することもできますので、管轄の税務署か市区町村へ郵送して下さい。
郵送経験のある人は、「郵送したけど大丈夫だろうか」、「中身をチェックされて連絡がきそうでこわい」とかを思っている方も多いでしょう。
ですが、大丈夫です、郵送したきたものほど中身を見ませんので。実際に足を運んで提出してきた人には、目の前に当事者がいるので役所の人間は聞きたいことがあればどんどん聞いてきます。いろいろ聞かれたくないならやはり郵送がベストと言えます。
実際に私が確定申告の担当をしていた時に郵送されてきた申告書は機械的に控除欄のみを見てさっさと処理していましたので大丈夫です。
提出された確定申告は一旦機械処理されますが、中身のチェックは機械処理されるわけではなく、税務担当の目でアナログ的にチェックされます。未だに手書きで作成された確定申告書もかなり多いので機械処理したくてもできないのです。
2. まとめ
税務署や市区町村などの役所は基本的には人的な問題で確定申告の中身をそれほど見れていません。人的な問題で全てをチェックできないのです。
チェックする項目は決まっていて、市区町村の場合だと、扶養控除、生命保険控除などの控除欄です。
税務署は、売り上げが1憶円を超えていたり、売り上げに対して経費が多すぎる場合などの申告者を対象に中身をチェックします。
確定申告作成の作成のポイントとテクニックを下記の記事にまとめていますのでそちらもご覧ください。