無駄な税金は払わないで下さい!元税務担当が教える あなたは税金を払い過ぎている
会社員や公務員、パートやアルバイトをしている方の多くが所得税と住民税を支払っています。これらの税金は通常会社がご自身に変わって税務署や居住地の役所へ支払ってくれているのでご自身で何かをしなければいけないといった事はありません。
直接税金に触れる事がないため、税金の知識があまりなく、興味もない方が多いです。その結果、税金(所得税と住民税)を納め過ぎている方がかなり多くいます。
某市役所にて税務担当をしていた経験をもとに税金を払い過ぎている理由と対策についてご説明いたします。
目 次
1.税金を払い過ぎている例
ここでいう【税金】とは所得税と住民税をさします。
税金(所得税と住民税)を払い過ぎている場合とはどんな場合か?
所得控除が抜かっている場合です。
所得控除とは税金を計算する時に、所得から差し引かれる金額のことです。
所得控除の抜かりの原因は、本人の申告漏れと会社の役所への報告漏れが多い。
所得控除の抜かりは役所のミスでおきる場合もあります!
私が某市役所で税務担当をしていた時に一番多かったケースが、
【扶養控除】が抜かっているケースです。
前年は扶養控除があったのに今年はないといった事が多いです。
次に抜かっていることが多いのが生命保険控除、年金控除。
これららの控除が抜かっていると、税金をかける前の【課税所得】が高くなってしまうので結果的に税金を払い過ぎていることとなってしまいます。
最後に医療費控除。こちらは抜かっているというより、めんどくさいので計算せず申告していない方がほとんどです。
所得控除が抜かってしまうと、所得税だけでなく住民税も払い過ぎになります。
1.1扶養控除を受けるには
扶養控除は会社などの勤務先に1年に一度、扶養控除異動申告書を提出する必要があります。申告書には、扶養しているご家族の氏名、生年月日、所得額、マイナンバーを記載して給与担当に提出すればあとは何もする必要はありません。
普通は勤務先の給与担当が提出するよう求めてきますが、忘れられている場合はご自身で提出したいことを伝えましょう。扶養控除は一人あたりの控除額が大きいので、この控除が抜かると税額は大きく変わりますので注意が必要です。
1.2生命保険、地震保険、年金控除を受けるには
年末調整という言葉を聞いた事があると思いますが、毎年12月に会社がご自身に変わって所得税の計算をしてくれる仕組みのことです。
この年末調整時に、控除申告書と呼ばれる申請書へ生命保険、地震保険、個人年金・国民年金などの掛け金の支払額を記入して給与担当に提出して下さい。
1.3医療費控除を受けるには
年間の医療費の領収書の保管が必要なため、めんどくさくて計算しない人がかなり多いですが、10万円を超えるか所得の5%を超える場合(年間所得200万円未満)は申告することをおすすめします。
医療費控除は年末調整の対象ではないため、ご自身で確定申告する必要があります。
医療費控除について詳しくお知りになりたい場合は以下の記事をご覧ください。
1.4所得税と住民税の関係
所得税と住民税は密接に関係しています。
所得税が前年より上がっている人は住民税も上がります。
両方の税金ともに課税所得をもとにして計算されるからです。
(これまで説明してきた控除データは所得税から住民税へ引き継がれます)
2.役所が計算ミスをする
会社員やパートなどのお勤めの方は扶養控除や生命保険控除などの計算は会社がやってくれますが、個人事業主の場合は自分で確定申告をする必要があります。
どちらも最終的な所得情報は役所に流れていきます。
役所は会社や各機関から受け取った情報をもとに住民税の計算をするのですが、
この計算をミスして高い税金をかけてしまうことがあるのです。
あってはならないことですが、けっこうな件数あります。
2.1なぜ課税ミスがおきるのか
役所も限られて人員で課税処理をしています。
税金の計算を間違える理由は単純に人的ミスです。
控除データがシステムに反映されずに前年よりも高い税金を課税してしまうケースが多分にあります。
2.2ふるさと納税控除抜かり
節税対策の一環としてふるさと納税を利用される方も多くなってきています。
ふるさと納税は応援したい自治体に寄附をすると寄付先の自治体から特産品が贈られてきて、しかも税額控除を受けることができる仕組みです。
年収や控除条件にもよりますが、例えば5万円寄付すると
15,000円相当の特産品が贈られてきて、48,000円の税額控除が受けれます。
簡単にいうと、2千円で15,000円の商品が購入できる。
税額控除を受けるためには、ご自身で確定申告をするか、寄付先の自治体があなたに代わって申告処理をしてくれる【ワンストップ特例制度】を利用するかの2つの方法が選択できます。
役所がミスをする場合は、ワンストップ特例を利用する場合です。
ネットのニュースでも毎年見かけますが、せっかく寄附したのに役所がワンストッップ特例の処理を抜かってしまい、税額控除が適用されずに結果的に誤った税金を納付している方がかなり多くいます。
3.税額を自分で確認する
所得税や住民税が支払い過ぎていないかどうかはご自身で確認するしかありません。
確認方法は、所得税であれば毎月の給与明細の【所得税】の欄で確認してください。
住民税の場合は、お住いの自治体によって時期は異なりますが、5月~7月ごろに自治体から勤務先若しくはご自宅(自営業の方)へ納税通知が届きます。
課税通知は給与明細と一緒に配布されますので、通知に記載の年間の住民税額を確認して前年と変わりがないかを確認してみて下さい。
4.まとめ
所得税や住民税などの税金を払い過ぎている場合は、ご自身による所得控除の抜かりや役所のミスが原因です。
控除には、扶養控除、生命保険、地震保険、年金、医療費控除、ふるさと納税控除などの種類がありますが、一番控除抜かりが多いのが扶養控除です。
所得控除が抜かってしまえば、所得税と住民税両方が上がってしまいます。
正しい税額かどうかは、ご自身で確認するしかありません。
所得税であれば毎月の給与明細の【所得税】欄。住民税であれば毎年5月~7月ごろに送付される課税通知でご確認下さい。