元税務担当が教える税金の話(節税編)
収入があれば当然税金はかかる。
元公務員として某市役所の税務担当に従事して得た知識と経験をもとに、税金の節税対策についてご説明いたします。会社員と個人事業主のそれぞれの立場に立った節税対策について解説しておりますので節税のご参考にして頂けたら幸いです。
目 次
1.元公務員が教える税金課税の仕組み
誰しも労働の対価として報酬を得た場合、その金額に対して税金が課せられます。
個人の収入に対して課税される税金は、所得税、住民税、国保税など。
法人であれば、法人税。
ここでは、個人に焦点をあてて税金の課税の仕組みをご説明いたします。
そもそも税金はどうやって計算されるのか?
所得税や住民税等のもとになる収入金額を【課税標準額】と呼びます。
つまり、課税標準額が高ければ税金が高くなり、低いと安くなります。
日本では累進課税制度を適用しているために、収入が高ければ高いほどに乗じる税率が高くなります。
儲かっている人からたくさん税金をもらいましょう!って考え方。
課税標準を安くするためには、所得から控除される金額をいかに積み上げられるかが肝となります。
所得税の額の算出は、超簡単にすると
(収入額ー控除額(給与控除、扶養控除等))×税率
会社員の方は、年末調整といって、扶養情報や各種保険控除等に関する資料を給与担当に年末に提出します。基本的には税金の計算、申告はこれでおしまい。
ですが、医療費控除やふるさと納税の控除は年末調整では計算されないので、個人事業主同様、確定申告が必要です。
確定申告しないと、せっかくの控除が適用されませんので、該当する方はお忘れなく!
所得税の次は、住民税について簡単に説明させて頂きます。
住民税は読んで字の如く、その地域に住んでいる方が対象となる税金。
住んでいたら絶対かかるといったものではありません。
収入がゼロ、もしくは70万を切るぐらいの方は住民税は非課税です。
住民税額は簡単に計算式にすると、
課税所得×10%+住民基本税額(5千円ぐらい)
国保税とは、国民健康保険に加入している個人事業主の方等に課税される税金。
国保税は簡単に計算式にすると、
課税所得(世帯全員の)×9%+α
ここまで、所得税、住民税、国保税の計算方法について超簡単にまとめましたが、
お気づきのとおり、全ての税額算出には、課税所得が関係しています。
つまり、控除の適用がない、もしくは控除をし忘れたら、全ての税額が高くなってしまうということです。
2.元公務員税務担当が教える節税効果(会社員編)
収入から控除される項目は、医療費控除、生命保険控除、地震保険控除等があるが、
会社員の場合、私が思う節税効果の高い項目は、
①扶養控除(38万円×人数分の控除)
②住宅ローン控除(残債の1%)
③ふるさと納税(住民税額の20%が目安)
まず扶養控除ですが、もちろん扶養人数に上限はなく、扶養している人数だけ控除を受けることが可能です。同居している必要もありません。(生計を一が条件ですが)
次に住宅ローン控除ですが、こちらも節税には大きく寄与します。
住宅ローンを銀行で組むと、残債の1%(上限有)が控除されます。
何がすごいかっていうと、所得控除ではなく、
税額控除のところがすごい!
税額控除とは、本来支払う予定の税金からそのまま税額が差し引かれること。
例えば住宅ローン控除で2,000万の残債がある方が、年間20万円の税金(所得税と住民税合わせて)を支払っているとすると、
税額控除額➡2,000万×1%=20万円
控除後税額➡20万ー20万=0円
ちなみに、所得税から差し引くことができなかった余りの控除分は住民税額から控除されるのでご安心下さい。
次にふるさと納税。
こちらも住民税額の2割程度が上限目安ですが、節税効果は高いと考えられます。
なんせ、寄付してモノがもらえるのですから。すごいの一言。
ふるさと納税は2008年にスタートしてかれこれ10年経過しますが、その人気は凄まじい
ふるさと納税はネットから申込可能で、ふるさとチョイス、楽天、さとふるetc
いろんなサイトからできちゃいます。申込は全然難しくありません。
住所氏名、連絡先、寄付額、寄付金の使い道、お礼の品、ワンストップ特例
大体この6つを入力すれば申込完了です!
カニ、ホタテ、牛肉、スイーツ、米、ビール、家電・・・
ほんとに手に入らないものがないほど。
ふるさと納税は年末調整では控除できませんのでご注意下さい。
確定申告不要のワンストップ特例申請書を居住地の自治体へ提出するか、
ご自身で確定申告をして控除の適用を受けて下さい。
本当にお得なので是非お試し下さい。
3.元公務員税務担当が教える節税効果(個人事業主編)
ここからは、会社員ではなく、中小企業等の個人事業主の節税についてご説明します。
税務担当として某市役所にて従事して得た経験をもとに記載いたします。
個人事業主の方の収入は公務員や会社員とは違い給与ではありません。
事業所得と呼ばれるもので、会社員とは違い給与控除がありません。
つまり、売り上げから経費を差し引いた純利益へ
もろに税金が掛かります!
とはいいつつも、公務員や会社員と違い、個人事業主特有の控除を受けることができますのでご安心を!
私が考える効果的な節税は、
①小規模企業共済(年間84万控除)
②青色申告特別控除(年間65万控除)
③生活費→事業経費へ算入(事業に要したもののみ 家賃・電話代等)
また、売り上げがある程度上がってくると、純利益も膨らみ、経費算入も限界が出てきます。そういった時には法人化をオススメします。
法人化する事で、社長として役員報酬を毎月受け取り、余剰益を役員報酬で消化していきます。
役員報酬の月額に上限はなく、ご自身で好きな額に決めることができます。
もちろん全額経費算入できますので節税効果は抜群です!
ご夫婦で経営されているのであれば、社長、副社長でそれぞれ役員報酬を受け取ると効果は倍増です♪
注意しなくてはいけないのが、定期同額給与という仕組みで、一度月額報酬を決めたら来期まで変更ができない点です。厳密に言えば、金額を上げてもその分は経費算入できないという事です。
また、節税といって高級車を何台も購入する方がいますが、私はこれを節税とはとうてい思えません。確かに車を事業用として購入するのであれば、一定の節税にはなりますが、購入額の全額を経費算入できるのに数年かかってしまいます。
乗用車なら5年はかかります。
車を含め機械等には耐用年数があり、同時に償却年数が定められているため、一括での経費算入は不可能なのです。
よく考えたらわかりますが、高級車を無理やり購入しなければその分お金が残るのですから(一定の税金がとられて若干目減りしますが)
4.まとめ
会社員や公務員の方、個人事業主の方に課税される税金として、所得税、住民税等がありますが、税金を計算する基礎になるのが課税所得。
この課税所得は、年間収入から各種控除や経費を差し引いたものです。
節税対策において効果が高いのは、会社員等であれば、
扶養控除、住宅ローン控除、ふるさと納税
個人事業主の方は、
小規模企業共済、青色申告特別控除、生活費の経費算入、役員報酬の設定(法人のみ)
その他にも節税策はありますが、一番効果的なものは上記のものです。
特に個人事業主の方は、無理な経費の積み上げにはご注意下さい。
計画的で効果的な節税対策を心がけましょう!
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